ビタミン剤
第25章 a mole tunnel
ああ、翔くん…
眠りにつく潤の肩を抱き寄せながら
潤が口にした名前を俺も呼んでみた。
翔くんの計画はおそらく完璧で
もう間も無く達成することは明白だけど
すこしでも歯車が狂って
その日が1日でも先延ばしできればいいのに
そう願わずにいられない。
シナリオの最後のページはハッピーエンド
モグラの道化が登場できるのほんの数ページだけ
ベッドの中、
眠りの姫に変身した潤に
布団をかけてあげてそっと寝顔に唇を重ねる。
潤がこのまま永遠に眠り続けてくれれば
俺にも違った配役が与えられる?
あまりの悲壮な想像はすぐに打ち消した。
朝迄、ぐっすり眠りにつきなよ
パシャ
寝顔を一枚だけ
翔くんに今からそっちに向かうねと
潤の寝顔付きのメッセージを送信すると
はやく来いって速レスが届いた
そこにも1枚の写メ
さっき車内で翔くんの雄を美味そうに咥えて
しゃぶってた俺自身の白濁に汚れた顔
それを見ただけで体温が上昇してくる
ああ、今夜もまだ代役を務められる
この身体を抱いて貰える
モグラの戀は惨めさばかりが際立つもの
それでもいいんだ
翔くんに玩具のように扱われても
あの指先で触れてもらえる
あのくちびるが素肌を這ってくれるなら
どうなったってかまわない