テキストサイズ

ビタミン剤

第25章 a mole tunnel


俺にはやらなきゃいけない事があるし
命令された事を確実に実行しなきゃいけない


陽の目を見れないモグラにだって魂は宿るんだ


適当に酔ったフリして
急ピッチでキツめの酒を呑ませて
いつもより早くに潤が酔い潰れていった。

「…とぉーまぁー
おまえさぁ、おんなじらねぇ」

「なにが?」

「…ニーオーイっ」

「んん〜なにと同じなの?」


「だあからぁー しょーくんと
おんなじでしょぉ香水っ
しょーくんのにおいとおんなぁーじぃ」

「そうだっけ?
潤もとってもいい香りだよね、なんか翔くんが
好きそうな香りじゃない?」

酔っぱらってる潤は適当にあしらっておく。
どうせ、明日には覚えちゃいない

「…へへっそっかなぁ〜ンフフ…
しょーくん…すきかなぁ…」


知り合いのモデルが
潤に甘えるようにしな垂れかかってくるから
シッシッって追い払う手つきをして、
帰るタイミングを考えてた。






タクシーの中
ごきげんに酔い潰れて眠りにつく潤
安心するように俺に凭れかかってきてる。
今夜の飲み会がよほど楽しかったのか
それとも、
思いがけない人物との対面にすっかり
心がはしゃいだのかもしれない。

その答えは
潤の寝言で呆気ないくらいすぐにわかった。



「…しょ…ぉ…くん…翔っ…」


2人の行く末に興味なんてないし
どうなろうと
モグラの俺は部外者でしかいられない。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ