ビタミン剤
第28章 フタヨンマルマルのシンデレラ
「翔ちゃんのシンデレラ姫かぁ
ドレスも似合うし、かわいいだろうね
12時になっても離したくないよ」
「うん、離さないでね
嬉しい、今夜はかずと一緒に眠れる」
「シンデレラ姫、どうかベッドで足蹴にはしないで
くださいね」
「…あっ、はい
王子様、なるべくおしとやかに…寝るね」
やわらかなアロマの香りのする寝室
ベッドの上でキスを強請ってこられたけど
頬と目蓋にそっと触れるように
くちびるをくっ付けてあげて
前髪を梳きながらゆっくり撫でてあげながら
左手でトントンとリズムを刻んでると
数分もせずに夢の中へ誘われていく。
ほらね、自分が思ってる以上に疲れてるでしょ。
ゆっくりぐっすり眠ってね
ちゃんとすぐ隣にいるから
実は、ナイショだけど
翔ちゃんが24時過ぎに帰ってきた日は
明け方近くトイレに行くふりをして
1人でベッドで眠り込んで翔ちゃんの寝顔を
こっそりと見に行ってるんだ。
穏やかな熟睡するその寝顔を見る事が
俺にとってなによりの幸せな時間。
もちろんこうして、
俺の腕の中で眠ってくれることが最高に
しあわせなひと時を噛み締められる。
「おやすみ、翔ちゃん」
シンデレラも
ラプンツェルも
エルサ姫でも
俺の愛らしいこの恋人には敵わない