ビタミン剤
第28章 フタヨンマルマルのシンデレラ
Nside
抱きかかえるように湯船に浸かってると
うつらうつらと揺れだす頭
疲れてない訳がないんだよ
日々の忙しいスケジュールをこなして
合間には習い事、同窓生が開催する勉強会にも
たまに自主参加して
体力作りのジム通いまで
様々な食事の誘いや、飲み会に、打ち上げ。
引き篭もりを誇示してきた俺なんかと
違って
多才で多方面とのパイプ作りをしてる翔ちゃん
だけどね
そろそろ自分自身のことも労ってほしい
自分の事に関して
かなり過少評価気味なところがあるから
もう少し自身の魅力に気付いて自主的に
防御してほしいところだってあるんだ。
こんな無防備でかわいい顔を
仕事場のスタッフ、同窓生、正直メンバーに
だって見せてほしくない
「翔…翔ちゃん…起きて…」
「う…ん…ぅ…寝ちゃってた…」
「そろそろ上がろう」
「…ん…夢…見てた
あのね、かずが王子様でね、俺が
シンデレラなの
フフ、12時の鐘で猛ダッシュするんだけど
脱げた靴が迷彩のスニーカーだったの」