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ビタミン剤

第30章 ムテキのヒーロー


Oside


ガキの頃に刷り込まれてる記憶ってのは
案外、根っこが深いもんだ。
ゆるゆるな家庭、好きなことさせてくれた両親
おいらには姉ちゃんもいたから
なんちゃって長男みたいなモンだった。


けど、華麗なる出自の翔ちゃんは
それこそ待望の長男として
家督を継ぐ跡取りってみたいな
感じで育てられてきたんだろう

ガキの頃から習い事のスケジュールとかも
半端なかったって言ってたし
英会話、ピアノ、塾は確か五教科だったっけ?
あとは書道?絵画、etc
直ぐに辞めたヤツなんかも含めると両手両足じゃ
たんねぇくらい

放課後に友達と遊んだり、寄り道とか
なんて思い出はないそうだ。



「翔ちゃん…
今夜はずっと一緒にこうしていような。
さみしかったろ?
おいらもすんげえ、さみしかった」

「…さ、と………」


ほら、名前を呼べよ
もっとしっかりおいらの名前を呼んで
翔のくちびるで智って形づくってくれよ



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