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ビタミン剤

第33章 花浜匙(躑躅色)


ごめん、ちゃんと伝えなきゃね
臆病者から卑怯者にはなりたくない。

深く息を吸い込んで肺いっぱいに空気を
取り込んでゆっくりと息を吐き出して
密かに抱えこんでた感情をくちびるで音にして伝えるよ。


「潤くんが好きだ。ずっとずっと好きだよ、
潤くんにキスしたいし、ふれたい、
潤くんを抱きしめて離したくない
その身体を抱いてひとつに溶け合って俺の物にしたい」

「…ニノ…」

「俺は翔ちゃんみたいに賢くないし
相葉さんみたいに愛されキャラでもない
リーダーみたいな器の大きさもない
俺にはなんにも誇れるものがない。

だけど、ずっと潤くんの事が好きなんだ。
この気持ちは誰にも負けない」


「ニノ、今夜うちに来て…
もう一人きりになりたくない。」

「行くよ、約束する。
その代わり晩飯用意しないでいいから。
飯たべる前に今夜、潤くんのこと抱くから
覚悟しててね。」

「…グスっ…ニノのバカッ…」


真っ昼間の車内でキスはできない。

信号待ちをしてる間、指先で自分のくちびるを
なぞってから
潤くんのくちびるにそっと指先を 押し付けた。


「間接キス、ちゃんと約束をしたからね。」

「…うん、待ってる…」


ぼんやりした様子でくちびるに触れる
潤くんの顔はほんのりと頬が赤く色づいてきてた。


そっと指を絡めて手を繋いで
片時も離れたくないんだよって伝えてる。





美しい彫刻細工が
俺だけの為に微笑みを向けてくる
魅入られたこの魂は、
今夜永遠の囚われ人になることを跪いて誓うよ。





おわり

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