ビタミン剤
第34章 SSZ
衣装から私服に着替えて帽子を被った翔くんが
すっごく優しい微笑みで抱きしめてくれる。
「なあ、今度の収録のとき
お揃いの茶色のVネック2人で着て来よっか?」
「え?どして」
前に番組で告白したヤツ。
翔くんとお揃いだから、なんだか恥ずかしくって
ずっと着れずにクローゼットの奥に封印してるんだけど
「俺ら2人でペア着てさ、
俺ら付き合い始めましたってメンバーにも
キチンと報告しないとな」
よく知ってる芸人さんと女優さんの
ラブラブカップルみたいにな、
あんなおめでたい報告をしちゃうの?
翔くんの指先が頬をそっと撫でてくれる。
指先のあまいあまい香りはたぶんフレンチトースト
で使ったバニラエッセンスの香り。
くちびるをなぞる様に触れてくるから
その指先をぺろりと舌を出して舐めてみた。
「じゃあ、今から翔くんちにお邪魔させてよ
どうせ、部屋ぐちゃぐちゃで
どこに仕舞い込んだかわかんないでしょ?」
「やべ、確かにマジでどこだかわかんねぇかも」
俺たちの初デートは翔くんちに決定。
食材に、キッチン用品、掃除道具なんかも
いろいろ買い揃えなきゃ。
掃除して片付けて荷物なんかも
整理整頓して、翔くんちに俺の荷物の置き場を
きっちり確保しないとね。
おわり