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ビタミン剤

第37章 サンクチュアリィ

Sside


「ねえねえどこに行ってるの?」

「まあまあ、山だよ山。」

「山登りぃ?どこの山、なんて名前の山?」

「翔、おまえなぁ
相変わらず答えを先に知りたがるなぁ
そう慌てるなよ。」

「だって…俺マジでホントにムリだからね
崖とか登ったりできねぇし」


「クリフクライム、苦手だもんな
んな真似させねぇよ、とりあえず寝てろ
着いたら起こしてやるよ」


「うん、疲れたら運転変わるから起こしてね 」


「別にいいよ、気いつかうなって
おまえのほうがさっきまで仕事だったろ?」

「ありがと。じゃあすこし寝かせてもらうね」

「とびっきり甘いキスで起こしてやるよ」

「クスクス…なにそれ、楽しみにしてるね。」



サングラスをして
運転してるから表情は見えていないけど
きっと目尻を下げて優しく笑ってくれてる。
自分だって忙しいくせにサプライズだって
俺の分の荷物まで纏めくれてたり。

甘えるとか誰かに頼るって事をあまりしてきた事がないからこういう時ってどうすればいいのかって
つい戸惑ってしまう。
素直に言葉のまま受けとっておくことにした。



瞼を瞑ると走行するリズムが心地よくて
控えめに流してくれてるクラッシック音楽に包まれながら意識が薄れていった。


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