テキストサイズ

ビタミン剤

第2章 Cherry






「10秒チャレンジ、そうあったよねぇ。
あれ覚えてる、みんな?
アレってさぁ…。」



「ああ、なんでも10秒以内に出来るか
どうか挑戦してたヤツでしょ。」



「はーい、
じゃあみんな今から挑戦するよ。」







マネージャーが
差し入れで持ってきてくれたのは、
山形産のさくらんぼ。


佐藤錦

さくらんぼの一流ブランドで
かなりお高い品だとか言って
うやうやしく木箱に入ったやつを
テーブルの上に置いていったもの。


「へえ、めっちゃ美味そうで
めっちゃキレイじゃん。」


「さくらんぼ、かわいいね。」



松潤と、智くんが興味津々で
さくらんぼを手にとりながら
会話している。
無言のままのニノはゲームに
夢中の姿勢を貫いていた。
先に新聞記事にひと通り目を
通しすことを意識していた
俺はひとまず
さくらんぼのことは後回しに
しようと思っていた。


そんな時
天然ボーイの相葉ちゃんが
ロクでもないひらめきを口にした。

それがさっきの冒頭の台詞だった。






「このさくらんぼのここの部分
あるじゃん。
なんだっけ、枝だった?
ここのところをさ、舌使って
結べることが出来る人って
かなりキスが上手いんだって。」



「枝じゃあないでしょうが。
翔さん、なんて言うんだっけ?」



くだらない思い付きに苦笑しながら
松潤の問いかけに返事をする。


「軸。さくらんぼの軸だよ。
相葉ちゃん、覚えてね。」



「へえ、
さすが翔ちゃん賢いね〜
初めて聞いた。
うん、ちゃんと覚えるね。」



「相葉ちゃん、
俺も軸なんて初めて聞いたし。」



呑気な智くんの声。
ニノは相変わらず黙ってゲーム。


「そうそう、だからメンバーの中で
誰が1番キスのテクニックが上手いか
やってみない?
10秒チャレンジみたいさぁ。」


相葉ちゃんの
くだらない発言は思いのほか
年の差コンビが受け入れた。
嬉々として相葉ちゃんが
ニノのゲームまで奪い取り全員が
強制参加することが決まった。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ