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ビタミン剤

第2章 Cherry




「ふざけんなよ。
画面停止くらいさせろやぁ!」


「まあまあ、ゲームは
何時でもしてるじゃないの。
仲間とのコミュニケーションも大事だよ。」


すっかりむくれて不機嫌な表情を
するニノと視線がぶつかる。
俺を睨みつけるような鋭い眼差しが
今朝の出来事をまだ許してないのだと
伝えてきていた。

詫びるような視線だけで許しを
請いながら、昨晩から今朝の出来事を
反省してみる。




確かに悪いのは俺だった。

せっかくの2人の夜だった昨晩
思いのほかの深酒で不覚にも
愛の営みの最中に意識を手放して
中途半端に昂ぶってたニノを
放ったらかしに眠り込んでしまった。


挙句に
早朝に目が覚めた時、
俺に背中を向けてぐっすりと
眠り込むニノを無理やり起床させ
強制参加させた愛の営み。


強引な合体運動は2回戦の
延長突入までさせてしまった。

ニノの眼の下にクマはどうにか
メイクで誤魔化せているけど、
腰にひびく鈍痛は許せないものの
ようで
実は、朝からまともに
口をきいてもらえていない。




「はーい、じゃあみんなぁ
さくらんぼを選んでくださーい。
俺は、よしっこれに決めた!」



手を伸ばそうとしないニノに
智くんが、自分のさくらんぼの
片割れを差し出してくれた。
でも、ほんとは俺の分を渡して
あげたかったんだけど。

今はたぶん受け取ってもらえない。


みんなひと粒だけ食べてタネを
取り出して軸だけを口に咥える。



「それではぁ、ヨーイッッ」


相葉ちゃんの挙手ゲームが始まる。





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