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ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀



「智くん…マジで恐えぇよ……」


むちゃくちゃ声が聞きたいっ
めちゃくちゃ抱きしめたいっ


智くんに
大丈夫だよってあの可愛いらしい笑顔で
へにゃって笑ってもらいたい


映画のキャンペーンで北海道に行ってて
きっと今夜も関係者との挨拶やら飲み会やらで
忙しくしてる筈なんだ。

こんなうまく説明の出来ねぇオカルト的な
話なんかしたら、智くんだって変に悩んだり
眠れなくなったりするかもしれない。



そんな時
携帯のバイブ機能で電話の知らせが入った。


「もしもーし、しょおちゃん?」

「さっ、智くんっ!!」

「えへへ〜今ねぇ、
現地の打ち上げが終わったんだぁ」

「おお、それは…お疲れさん
いやぁ、びっくりだわ
実はさ、今すっげえ智くんのこと考えてたとこ」


見えない絆
まさしく以心伝心
俺と智くんをつなぐもの
それをかけがえのない絆や愛とか表現できるなら

雅紀とニノ、あの2人にだって
それに似た絆をつなぐものがきっとある筈なんだ



「エヘへなぁーんかねぇ、ビビッときちゃったんだ
翔ちゃんが呼んでる声が聞こえたんだよ
だから、電話したんだぁ、えへへ〜」


少し酔ってるのか間延びするのんきな口調だけど
いつだって智くんは
俺のことを誰よりも考えてくれて、
なによりも心配してくれてるのを知ってる。



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