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ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀



Nside

撮影後、翔さんに呼びとめられて
この後予定はないよなって半ば強引に車に乗せられた

昨日も見た生々しい夢

その中に翔さんが相葉さんの傍にいた
尽きる事のない欲望、願望の幻影に登場した思わぬ人物


まさか?
付き合ってるとか?


「おい、ニノ
大丈夫か?目の下のクマけっこう酷いぞ。」

「ん、ああ、昨日もあんまり寝てないから」

「そっかぁ、やっぱ徹夜でゲーム?」

「まあね、そんなとこ
それより用事ってなに?」

「ああ、あのさ
誕生日プレゼントだけど、髭剃りでもいい?」

「ありがと、頂けるならなんだってうれしい
わざわざ用事ってその事?」

「永遠に剃れる髭剃りっての貰ってさ。
これがなかなかの良い剃り具合でさ、
ニノにもぜひ使ってもらいてぇなぁって思ってんだ。」

自信たっぷりの口調
自分が使って良かったものを贈りたいって
いかにも翔さんらしい思いやりと人柄の良さ。
なのに、俺はあの夢のせいで
素っ気ない口調で嫌な物言いをしてしまう。


「へぇ、そうなんだ。
しかし、たいしたキャッチコピーのセンスだね。
永遠なんて、
そんな不確かなことまで保証できるものかな?」

「………不確かな未来ね。
けど、未来を創りあげていくのって
今の俺らじゃね?
だったら未来も俺ら次第でどうにかなるもんじゃ
ねえかって俺は思ってるよ」


イラつきが表情に出そうになって顔を背けた。
外を眺めるフリをして窓に映ってる翔さんの
ことをしずかに睨みつけてた。

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