ビタミン剤
第44章 エピテーゼ
Mside
「…はぁ…ぁ、ん……んふ…はぁ…」
不快な目覚め
汗ばむほどの室温には設定していない
快適な温度で眠りにつける筈なのに
最近いつも明け方近くに目覚めてしまう
すぐ横で眠りにつく寝顔
すごくしあわせそうなその寝顔に
つい怨みがましい視線をおくってしまう
渇いてもない喉を潤すためにそっと
ベッドを抜け出してキッチンへと向かった。
普段は常温の飲料水を呑むことを心がけてるけど、今は冷蔵庫の中で冷えたミネラルウォーターを口にしたい気分
蓋をはずして一気に煽ると口端から首元へ
首元から胸許へと冷えた感覚が流れ落ちていく。
「…もう、さとしの…ばかぁ……なんで…
抱いてくれないんだよ…」
ここ2週間ほど続く禁欲生活
確かにお互い忙しくしてたから気遣いで
そうしてくれてるんだろなぁとは理解している。
智だってキャンペーンで地方に行ったり
かなりのハードスケジュールをこなしてたから
俺から誘ったりも出来なかった。
恋しい男と共寝してても手を繋いで眠るだけ
もどかしい熱の燻りを抱えながら眠りにつくから
どうしても目覚めてしまう。