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きみがすき

第11章 *ジュウ*




え?…俺の手…?

なんで?

なんだよこれ。
『行かないでよ。』って言って、そんでもって腕掴んで引き留めて。
そりゃもう少し話したいとは思ったけど、こんなことしたいとは思ってない。

とにかく手を離さないとと、意識を持って手に力を入れた。
呆気なく離れた手。ただ、服の上から掴んでいただけなのに、手の熱は一気に下がったように感じた。


「…あ、……」
何か言わないとって思うけど、自分の感情が迷子になってしまった俺は、離した手をただ見つめるだけ。
…今の俺はどう写ってるんだろうか。


その時、
ふぅ。と頭の方で聞こえた息を吐き出す音。
思わず体が震える。

気持ち悪い?なんだこいつって思った?
まだ2回しか会ってないし俺の印象なんて無いだろうけど、男にこんなことされたら気持ち悪いよね。



相「ねぇ…大ちゃん。」



「…」



相「今日さ、外寒かった?」



「…え?」
思いもしなかった言葉に思わず顔をあげる。
その先にあったのは、真面目な顔。


質問の意図はわからないけど、ちゃんと答えなきゃと固まった口を動かす。
「………寒い。……すごく…寒いよ。」




相「そっか。


じゃぁ…


マフラー、貸してあげる。」



そう言って、きみは笑ってくれたんだ。

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