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きみがすき

第16章 *ジュウゴ*

*二宮*




「振られた!?」


大「ちょ!ニノ。」
声が大きいよ。と人差し指を唇に当てる。

「あ、すいません。」
キョロキョロと周りを見回して誰も居ないことを確認する。


今では2人の定番になりつつある自販機裏の喫煙所。
禁煙思考の強い会社でもあるため、昼休み以外人が来ることは滅多ない。
俺も大野さんも煙草は吸わないけど。仕事にしてもプライベートにしても、込み入った話をするには何かと便利だった。


大野さんに「話がある」と言われ連れて来られたのは、ついさっき。

休憩時間外にここに呼ばれる時は、決まって仕事の話だ。
でも、大野さんの口から出たのは相葉さんの事。



「振られちゃった。」と弱々しく笑った。


「……」

嘘…
だって、潤くんの話じゃ…

大野さんと相葉さんが、遊びに行くことは潤くん伝えに聞いていた。
俺らが手助けしなくても何だかんだ仲良くなっていく2人を見守っていこう決めたのは、ついこの間。

大野さんが、こんなに早く告白するなんて予想外ではあったが、

まさか振られるなんて…


そりゃ俺は相葉さんではないし、人の気持ちだから、すきになれないなら仕方がないことだけど…

でも…

やっぱり納得がいかない。


大「もぉ、なんでニノが泣きそうなの。」


「だって…」


大「ふふ。俺は大丈夫だよ。」
そう言って笑うけど、全然大丈夫じゃないじゃん。
今思うと、ここ最近この人昼飯ほとんど食べてなかった。顔色だって良くないじゃん。

てっきり上手くいってると思い込んでたから、気付こうともしなかった。


「…俺!相葉さんにどういうつもりか聞いて…」


大「ニノ。気持ちは有り難いけど、これは俺と相葉ちゃんのこと。」


「でも!」


大「心配してくれてありがとう。
ちょっと時間かかるかもだけど、仕事じゃ迷惑かけないからさ。」

大野さんは、ふにゃんと笑って俺の頭を撫でた。


その手は、髪越しでもわかるくらい冷たくて、

俺が暖めてあげられたら良いのに。

なんて思ってしまった。

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