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きみがすき

第38章 *だいすき*



潤が居なくなった店内は
俺と大ちゃん2人きり…

にはなれなくて

思いの外忙しくなった後半の時間。
ちっとも話なんてできない。合間を見ては声をかけてみたけれど「大丈夫」ってなんだか素っ気ない。

でも、寒くないかな?体調大丈夫かな?無理してないかな?って気になってちょこちょこ大ちゃんを見れば、ぱちっと目が合うことは多くて
俺を気にしてくれてるのかなって、少しだけ自惚れてしまった。

なによりも
3週間ぶりに大ちゃんに会えて、声が聞けて、話ができたことが嬉しかったし、なんだかこの空間が…初めて会った日のことみたいだなって懐かしく思ってたんだ。




でもほら、言わんこっちゃない。
お客さんからの積極的なアプローチ。

なに?真面目にちゃんと答える気?そりゃ今はフリーだろうけど………フリーだよね?もう新しい恋人いるとか言わないよね??

お客さんに「恋人いないよ」って言われるのもイヤだけど、それ以上に「いるよ」なんて大ちゃんの口から聞くのなんて死んだってイヤだった。

そんなことを、自分でもこんな能力あったんだと思うくらい一瞬で考えて
気が付いた時には体は動いてて
「恋人いるから、だから狙っちゃ駄目だよ。」
気が付いた時には、こんなことを言ってた。





…て

何言っちゃってたんだろう俺…
まじで自分勝手というか、未練たらしいというか…
潤に嫉妬するわ、お客さんから大ちゃん遠ざけるわ…





…あ、もしかして これ?
大ちゃんが怒っちゃったのって…
俺に邪魔されたから?



…んーー……

でも違うよね。
だって、さっき大ちゃん俺のこと すきって………本心だって…



……

あー……もぉ…
……良かった…
俺…愛想つかされたと思ってたから




大「……(ぶっすー)」

ますます膨れっ面の大ちゃん。



……

早く怒ってる理由探さなきゃっ!!
今度こそ愛想つかされちゃう!




閉店後ね。
この時の俺は、とにかくネガティブというか、疑心暗鬼というか


大ちゃんの「2人でやれば早く帰れる」って言葉に
そんなに俺といたくないの?って…モヤモヤして

でも、今日を逃してしまったら、本当にもう一生会えない様な気がして
大ちゃん 疲れてるだろうし、眠いだろうし、帰りたいだろうけど

帰してやんない。って無理矢理引き留めたんだ。

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