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きみがすき

第39章 *えんどろーる*

*相葉*




大「結婚?」


「そ。今働いてる工場の上司で、彼女のこれまでも含めて受け入れてくれた人なんだって。」


大「…そー…だったんだ…」

大ちゃんは、そこで言葉を切った。


心地よく揺れるここは車内。
助手席に座る大ちゃんは
もうすっかり明るくなった外の光を受け、眩しそうに目を細めた。


まだ…その瞳は赤い。






あの後

大「ひっく……ふっ……、」

大ちゃんは、俺の胸の上で泣き続け

俺は、もうこの人を、この手を離すまいと
しっかりと抱き締め続けた。




どれくらいそうしてたのかな

大「……」

「……」


静かになった店内
聞こえるのは 2人の呼吸。
感じるのは ぴたり。とくっついたところへ響く心臓の鼓動。

大ちゃんの体は、もうすっかり温かい。



と、

大「あれ?」


「?」


大「あれ?!」
の声と共に、俺の腕を抜け出し勢い良く起き上がったのは大ちゃん。

「??」


大「相葉ちゃん!大変!」

え?なに??
その焦りように驚いて、がばっ!と体を起こせば…

大「外が明るい!」
窓の外を見てそんな事を言った。



……

「うん。夏だからね。明るくなるのは早いよね。」


大「え?……あ、そか。って5時過ぎてる!」
キョロ。と視界を動かして時計を確認。


え?あれ?5時?
いつの間にかこんな時間だった。





で、そっからは

大ちゃんは会社行かなきゃだしで、何事も無かったように急いで帰り支度を始めた俺ら。

あ、でもなんかね。大ちゃんがね。
いや、いつも通りなんだけど…



……

ううん。嘘付いた。違うね。
全然違う。



だってほらー


大「相葉ちゃんのズボン。裾が長いよ。
俺、折らなきゃ履けないなんてすげー悔しいんだけど。」


「仕方ないじゃん。俺の方が背が高いんだし。」


大「俺がチビって言いたいの?」


「俺より背が低いって言いたいの。」


大「……今度は!俺が洗ってくるからね!」
そう言って、今日貸したエプロンを見せる。


「?…………あぁ!くふ♪うん。ありがとう。
あ、でも早めに持ってきてね。早く大ちゃんに会いたいから。」


大「なっ!っ〜……もぅ!わかったよ!」





なんだか前より突っ掛かってきて、でも顔はしっかり赤くして



可愛いくて参る。


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