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きみがすき

第40章 *ちょこっとおまけ*

その日の夜



「たでーまっと…」
俺は1人、真っ暗な玄関に声をかけて
ドス。と仕事用の鞄とスーツケースを玄関の隅に置いた。

パチ。と灯りを付ければ、見慣れた場所。
昨日は久しぶりに人んちに泊まったから1日ぶり。

スーツケース類はほっといて、リビングへ入れば、昨日ソファーに座っていた彼も、後から訪れた彼もいない。

それは、本当に居たのかって思うくらい、俺が掃除をしたまんまの光景で

…すぐ帰ったんかな。



ん?

ブブ。と鳴った携帯。

メールだ。
送り主は二ノ。

《昨日はご迷惑かけました。
ありがとうございました。
汚してしまった毛布類は洗濯してベランダに干して……》

あ、毛布。


カラカラとガラス扉を開け
ベランダを覗けば、パタパタと風に揺れる
毛布と…バスタオルと……

シーツ?

不思議に思いながらもすっかり乾いた物達を取り込む。


あぁ泊まったのか。
そりゃ2人でソファーっつー訳にもいかねーしな。

つーかわざわざ洗濯なんて良かったのに。


そう思いながら
寝室へと運ぶ


カチャ。

寝室にあるシーツのかかってない裸のベッド。


…あれ?
でも何で洗う必要ある?
バスタオルの数を見れば風呂にも入ったみたいだし…




……


………


え?

ヤったのか?

ここで…シーツが汚れるようなことヤったのか?



…いやまさかな…



そういやメールの続きがあったなと、メール文を下へ下へとスクロールすれば、文末に

《……

翔さん ごめんね🖤》


ごめんね ハ・ア・ト………



俺は、改めて目の前のベッドへ目を向ける。




いやいやいや。
あんな感じでそんな展開ねーよな。



……

いや、あんな状態だからありえんじゃね?

こうなんか、逆に盛り上がって…




……

「はぁぁぁぁ……」

どっちかなんて聞きたくない。
寧ろ知りたくねぇ!

俺はもう1度二ノからのメールを見る。


元気そうで良かったじゃねーか。

ヤれる元気がありゃ大したもんだよ!(←結局ヤったことになってる。)




「愛って怖ぇー…」


俺は1人、空っぽの寝室に呟いて



もう2度と、あの2人は家に泊めない。


そう、固く誓った


蒸し暑い8月の夜。



by櫻井翔







*ちょこっとおまけ おわり*


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