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きみがすき

第44章 *やきもち*

*相葉*



「ん…?」

あれ?


パタパタと、目を瞑ったまま腕を伸ばす。
でも、そこにお目当ての温もりがない。

まだ眠っていてよ。とばかりに重たい瞼を開ければ
やっぱりそこにいなくて…

大すきな匂いがする俺ん家じゃないここ。


「大ちゃん…」

ぽつ。と呟いた声が静かに消えてった。


.

昨日は、俺も大ちゃんも仕事で
でも、最近はなかなか会えなくて、メールのやり取りとか、合間を見て電話もしたりしてたけど、どーにもこーにも不足不足の超絶全然足りなくて。
仕事が終わったその足で、来ちゃった。

あ、不法侵入はしてないよ。ちゃんと連絡もしたし、最近交換した合鍵もあるしね。

て、そんな事より大ちゃん。


俺は、一度大きく伸びをしてから体を起こした。



.


大「ふふ、珍しいね。今日は甘えん坊だ。」

見つけたのは、寝室を出てリビングを越えたベランダんとこ。
しゃがみこんだ小柄な背中が、何だか楽しそうに揺れている。


そろりと足を進め覗いてみれば

大「そんな旨い?慌てなくても誰も取んないよ。」

その足元に居たのは、猫。
大ちゃんいわくニノに似ているという、毛色の綺麗なノラだ。

『にゃぉん』
甘えるように鳴いて、大ちゃんの足にスリスリ。

大「ふっ…くすぐった…」

『にゃん』

大「ん?え?おはよう?
あ、そかおはよう言ってなかったね。おはよー」

猫語(笑)
どっちかって言ったら、ありがとう。かななんて思ったり。

そんな事を遠巻きに見ながら考えてる内に、猫は足取り軽くどこかへと行ってしまった。


大「っわ、なに?!…もぉビックリしたー。」

後ろから、そっとぎゅぅって抱きついて


別に妬いてなんかないよ。猫にさ。いい大人だし。

……でもさぁ…


大「早かったね…どーしたのその顔?」

…だって

「おはよう。の一番は俺が良かったなぁ。」
自分でもわかるくらい、不貞腐れた声が出て

大「?…あー……んふふふ」

笑っちゃうよね。

大「ふふふ…ねぇ相葉ちゃん?」

ポンポン。と頭をノックされて
ノロノロとぶぅたれた顔を上げれば


ちゅ。

と、なんとも可愛らしいキス。


そして
大「おはよう。相葉ちゃん。」

ほにゃん。と、とびきりの笑顔。




…あーもぉー…やば





そんな
穏やかな秋晴れの朝



*おわり*

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