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きみがすき

第10章 *キュウ*

*二宮*




「おはよーっす」


「あ、おはようございます。」
次々に出勤する社員達にいつも通り挨拶をする。

週の始まりということもあり、
気だるそうなのはお互い様。


いつもは俺もその一人なんだけど、
今週は別。

なんでかって?
そりゃ…


大「おはよー。ニノ。」


大野さんだ。と、横を見上げて
「おはようござい…」
思わず言葉が止まる。


「っ大野さん!」
突然ガタッと立ち上がった俺に
椅子に座ろうとしてた大野さんが、
その目を大きくして驚く。

そんな大野さんの腕を掴み、
大野さんが歩いてきただろうオフィスを横切り
廊下へと向かう。

大「え?ちょっ!ニノ?!」
急に引っ張られてバランスを崩す大野さん
転ばないようには気をつけて
スピードは落とさず、歩き続ける。


廊下にある休憩所。言わば喫煙所。
自販機で影になってる所。

『ここなら大丈夫、かな。』
くるっと向きを変えて大野さんの顔を見る。

『やっぱり。』

大「…ニノ?」
そんな俺を不安げに見る大野さん。


「何があったんですか?」

大「え?」
何が?とこてんと首を傾げる。

いちいち仕草が可愛いよな。
「…って、そうじゃなくて!」

大「…ニ、ニノ?」

「あ、ちがくて。
あの、目が腫れてます。
何があったんですか?」


大「目?」
一瞬だけキョトンとして
「…あぁ、これ?」
とその長い綺麗な指で自分の瞳を指した。

まだ腫れてたかぁ
と、のほほんと話す大野さん。

大「てか、こんなとこ連れてくるから、俺、ニノにぼこぼこにされちゃうのかと思って焦ったよ。
なんかしたかなぁ?って。」
あははーと可笑しそうに、笑う大野さん。

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