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第4章 告白

6月…といっても中々の気温だ

熱々のラーメンが、でんと目の前にくる

チラリとアイルをみると
控え目に…ずっと
ふぅー ふぅー としている

少しからかいたくなる姿だ

『…何してる?早く食べろよ?(笑)』
『…。ズズ…。…っっ!』

ニヤニヤして話したオレに
ムッとして慌てて吸い上げると
アイルは目をギュっと閉じた

ホントの猫舌みたいだ
慌てて水を飲んでいる

『…~とり皿もらってやろ~か?(笑)』
『……うるさい』

コンビニでお茶を買って二人で飲みながら
近所をプラプラと歩いて移動した

『なぁ、暑くないか?』
『…食べたばかりだから』

『いや、ちがくて』

未だフルレングスのTシャツとパンツの
アイルをみて言う

『夏服でも見ようよ』

通りにあるショッピングモールをさす
どさくさで寄り道しようと軽い考えだった

『ほしくない』
『見るくらいイイだろ?』

カジュアルな婦人服コーナーをまわる
アイルはとくに
ウンともスンとも言わずチラチラと服を眺めていた

『アイには少し遊び心が足りないぞ?
若々しさってモンが~』

『…説教くさい…』

『ハハハ!わかる?』

夏色のカラフルなスカート、ワンピース…
オレは特に考えずに
目にとまった花柄のワンピースを手にとった

アイルに似合いそうだ

『たまに こーゆーのとかさ~』
『~……着ないし~…』

答えながら振り向いたアイルが

『……』

アイルの顔が一瞬で凍りついていた
見たことのないくらい

『…?…。アイ…?』
『ハ…ハァ……ハッ…っ』

何が起こったかオレにはわからない
突然苦しみ出したアイル

後に後退りしてトイレの方に走って行った
すぐに後を追う
女子トイレの入口で追い付いた

ひきつけでも起こしたように苦しんで アイルがしゃがみ込む

……過呼吸?

動揺をかくしきれないが
なんとか鎮めてやるより他ない

『アイ!どうした!?…しっかりしろ!』

オレはペットボトルの入った袋を空けて
アイルの口を覆った

『落ち着いて…そう、ゆっくり』

背中を擦りながら
ゆっくりと息をさせる

…だんだんおさまってきた

『大丈夫か…?』
『ハ…ハ…ハァ…~』

コクッとアイルが頷く
ペットボトルのお茶をゆっくりと飲ませた

タクシーを拾って、アイルを送り届ける
公園の前で一緒に降りた

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