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第5章 呪縛から…解き放て

あれからオレはアイルにメールしたり
誘ったりしてみた

ろくに返信はない
食事に誘っても断ってきた
オレを…避けてるようだ

オレはアイルの店に行ってみる事にした
土曜の昼前…もう落ち着いてる頃だろう

じきに営業終了時間になるし
その後話せるかも知れない
足早に店に向かった

『コンニチワ~!』

明るく出迎えてくれたのは
長身スレンダーな女の人だ

アイルとまた違った大人びた美人
ショートカットがよく似合っていた

サバサバして気さくそうな人
オレより少し上か…同い年くらいだろうか

『~もしかして?ウワサのアイの彼?』

『は、…あ、いや…そんなんじゃ』

『やっぱり~!?やっと会えたよ!
あたし看護士の〃中谷 真波〃です~っ
はじめまして~!』

『どうも…滝川です』

前に言っていた〃マナさん〃て人か
何度もここに来てるが
確かにオレも初めて会った

アイルが大人しいだけかも知れないがよく喋る

たまに強引そうな感じが
どこかソウタさんを思わせて少し笑えた

『は~ん…?あの子
けっこーわかりやすいなやっぱ?』

マナさんが頬杖つくように顎に指をあてて
オレを上から下までチラチラとみる

『え?』
『アイってメンクイだかんね~♪…
あ、いやいやこっちの話~』

…一人で楽しそうだ

『あの、アイって今日』
『~あ~…いるよいるよ!
ずぅーーっと奥引っ込んで~…アイ~~!?』

マナさんが大きい声でアイルを呼んで奥へ行く
オレの視界にようやくアイルが捉えられた
マナさんに肩を抱かれて出てくる
いつもと変わらないが
なんだ?…何かちがう

髪はバサッと下ろしたまま
いつも仕事中は髪をしっかり結んでたのに
それに6月…中々毎日気温が高いのに暑そうだ

『ホラ~!待ち人来るだぞ~!!』
『マナさん…うるさい』

『なにぃ~!?お姉さまに向かってこいつ~!』

マナさんがアイルの髪を
わしゃわしゃしながら出てくる
アイルにとってマナさんは
良いお姉さんのようだった

『?』
気のせいか?

マナさんがハッとしたかのように
アイルの髪から手を離して
髪を撫でるようにして元に戻した

『…ホラ、アイ!もう仕事切り上げて!
オナカ減ったよあたし~~』

『一人で行って下さい
あたしまだやることあるんで』

『なんだと~!?てかあんた迎えがきてんだから
早くしろっての~!』

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