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第5章 呪縛から…解き放て

『……』
アイルはオレに気付かないフリでもするように
うつむいて仕事に戻ろうとした

『ったく!~ごめんなさいね!
もうすぐ営業おわるから』

『あ、いえ。すみません』

マナさんがテーブルの方を差してくれる

『おぅ…』

そこへ病院の方からソウタさんが出てくる

オレに気付いて〃オス〃とジェスチャーするが
何か険しい顔をしている

そのままアイルの方へ進んでアイルを呼んだ。

『アイ…あとマナに任せて
お前今日はもう上がれ』

『…?』


『そんなんで…体もたないぞ
この1週間ずっと…』

『もうすぐなんで…』


ソウタさんの言葉に小さく…アイルが反発する




『…っ…いいから、今すぐ帰れっ!!!』



ソウタさんの怒声でシーンとなる。


どうなってるんだ?


アイルは一瞬ビクッとしたが
食い下がるようにソウタさんに言う

『…大丈夫です。なんでもありません』
『…~』

ソウタさんがみけんにシワを寄せてため息をつき
アイルの頭をガシッと掴むと下を向かせた。

髪をかき分けると
アイルの頭部が一部

……円形に脱毛していた。


『…ぁ…』

『ぇ…?』

マナさんとオレがわずかに声をあげる。
アイルは乱れた髪のまま黙って立っていた。

『…』

『アイ…。俺が
何もわからないとでも思ったのか…?』


アイルの髪を適当に戻すと
ソウタさんが振り向いた。

『マナ。アイは今日もう上がるから
後の事頼むぞ?このまま病院に行くから。
何かあれば直ぐに電話くれ?』

『あ…うん、ハイ。…わかりました』


少しポカンとするマナさんとオレの前を通って
ソウタさんは
アイルの手を引いて自宅の方へ向かう

『ソウタさん…私っ…』

わずかに抗議するアイルを無視して
ソウタさんは強引にアイルを引っ張って行った

『~~あちゃ~!!あたしだけんなっちゃったよ
ゴメン!!』

マナさんがくだけてオレに謝る
オレはマナさんに挨拶して店を出た

夕方、やはりソウタさんは連絡をくれた

アイルを連れて行ったのは
いつも通っていた心療内科で
カウンセリングと栄養剤の点滴を受けて帰宅

極度のストレスでバランスがとりきれず脱毛し
ろくに食事が取れなくて
体も弱っていたとのことだ

落ち着くまで仕事を休ませるし
自分が様子も見に行くから安心してほしい
と言う内容だった

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