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第6章 幸せの足音

朝日が射しこんで、眩しさで目を覚ました。

オレの腕の中には
人形みたいな顔で眠るアイルがいた。

すっぽりと…オレの腕に収まるアイル。
カワイイ…。

『ぅ…ん…』

アイルが目を覚ます

昨日泣きじゃくったせいか
少し腫れた目をこすると
オレを見てパチリと目を開く。

『あ…。…ぇっ…?』
『…』

『~~~~~!!!』

何やら少し混乱しているようだ

…そりゃそうか…一人暮らしの女の子の家に
泊まり込んでしまったのだから

アイルが顔を赤くする。

『お…』
『~…ぉ?』

『…オジャマしてます』

オレのとりあえず放った一言で
アイルはソファから転げる
慌ててオレが手を延ばす。

『ふふっ…』
『(笑)…おはよ』

『…おはよう…~』

アイルは、ささっと立ち上がり
パタパタと洗面所の方へ走って行った

オレはソファにもたれて少しぼんやりとする

まぁ…そんなイキナリ
キャラ変するもんでもないだろう。

アイルが戻ってきて角から半分だけ顔を出して
オレをチラッとみている

『うん?』
『……』

何か言いたげだが…

アイルを見れば顔を赤らめて
耳まで真っ赤にしている。

オレは少しイタズラ心が騒いで
立ち上がってアイルのそばに寄る

壁にアイルの背中をそっとつけさせて
正面を向かせた…。


『なんだよ?アイル』
『…べつに…』


『なんか思い出してんのか~?』



アイルの唇をツンと指で軽くつついた

昨夜…眠くなるまで何度もキスをした唇を。



アイルはさらに顔を赤くして
オレを軽く突き飛ばす。


『バカっ…』
『クスクス』



初めて見る アイルの〃女の子〃の一面


不器用でウブで…可愛い女の子の一面



アイルは…こんなに可愛い子だったんだな。

ふと最初に出逢った頃を思った。


『…時間…ある?』


くるりとアイルが振り向く


『え?…あぁ』
『朝ごはん…』

『うん…』

テレビをつけてオレをソファに誘導すると
アイルがキッチンに立った。

パタパタとやって来て
カップに入った飲み物を渡してくれる。

『ごめん。コーヒー…次用意しておくから』


甘そうなココアが湯気をたてる


アイルの仕草、生活感


ひとつひとつに口元がゆるむ


オレはテレビを見るフリをして
しばらくぼんやりしていた。

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