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第6章 幸せの足音

数十分後
アイルが朝食を並べたテーブルに
オレを呼んでくれた。


炊きたてのごはん
野菜の入ったみそ汁

サラダ
卵焼き…

そして…そして


『すげー…うまそう』

『そんな…大したものないんだけど…』


アイルが〃どうぞ〃と手で合図する


『~~アイル…すまん』
『ん?』


『オレ…コレだけは…~』


小鉢に入ったナットウを差して言った

アイルが笑いながらオレを見る。


『クスクスクス…やっぱり?そんな気がしてたの』
『わりぃ…』


『ううん。いいの。コレあたしのだから。ハイ』


ささっとテーブルの中央から小鉢を端に避けて

ひょこっと取り出した
焼いたソーセージを出してくれた

バランスの良い、あたたかい朝食。


『いただきます』
『うん。いただきます』


いつものように
ちょこんと手を合わせるアイル。


『おいしい』
『本当?よかった…』


アイルの料理はどれも本当においしかった。


『すごいな。ちゃんと自炊してんだな?』
『まぁテキトーに』


『健康的だな』
『ソータさん…うるさいから。昨日も
〃食えるまででてくるな!〃って
…また怒られちゃったよ』


『ハハハ!愛情深い人だ。親心だろうよ』


少し落ち込むように苦笑いするアイル。
色んなアイルの表情をみるだけで
すごく心が温まる。


『薬は?飲んだ?』
『ん…もう平気』


『ダメだよ。ちゃんと…だって』
『…』



『『ソータさんうるさいから(笑)』』




ハモった。
アイルと一緒に思わず吹き出す。


オレはアイルにお礼を言って一度帰宅する。


昨夜雨はすっかり上がって
晴れ間が広がっていた。


『今日、時間ある?…少し話しときたいことが』
『うん』

『じゃまたあとでな』


家に帰って、あついシャワーを浴びる。



起こった事が幻でないことを確かめて…。



アイルの家とオレの家は、そう遠くない。



地図的に言えばソウタさんの病院…

つまり

アイルの職場を中間地点にした
同一線上にあるようなものだ。


行き来は楽だった。


昼過ぎにアイルを呼び出し
これまた中間の
ビリーヴでお茶をする

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