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残る暑さとあなたの熱

第1章 誕生日

ポーン。 携帯の通知でパソコンから目を移す。

"はじめまして!
○○に紹介してもらいましたはずきです。"

(おお、来た。)

働き出して1年目を迎えたと同時に
本日誕生日をめでたく迎えました私ななは
いつもと変わらずの残業に追われていた。

(えぇ〜っと…)
少し考えた後で文を打つ

"はじめまして、ななです。
○○くんから連絡来たの久しぶりだったので
びっくりしちゃいました(笑)
こうゆうことだったんですね。"

1年前に大阪に女2人呑んだくれ旅に行った時に
声を掛けてきたのが○○くん。
大阪の人はみんな楽しい人ばかりだなと盛り上がり
連絡先を交換したが、旅行が終わるとあまり連絡することもなくなっていた。


そんな○○くんから

"ひさしぶり!元気しとるか?
そっちに俺の連れがおるから
なな紹介してもええか?悪いやつじゃないねん!"

と連絡がきたのは一昨日のこと。

大阪から遠く離れたこの地で働く地元の友達が
出会いがないと嘆いてたらしい。

ポーン。
"そうやねん!ゴメンな急に!
適当に友達でいいから仲良くしてな!"

(関西の人はほんとにフランクで話しやすいなぁ。)

そんなことを考えながら
残りのパソコン作業を終わらせ
仕事場をでた。

コンビニでチーズケーキとチューハイを買い
家に着いてすぐにシャワーを浴びる。

(まだあったんだ…)
全部捨てたと思っていた元彼のTシャツをクローゼットの奥の方で見つけた。

(好きだったのにな〜この匂い。)
全裸のままTシャツに顔を埋め呼吸を繰り返す。
身体が火照るのを感じ少し恥ずかしくなった。

"お疲れ様でした。私、今帰ってきたんですよ
それと、実は今日が私の誕生日で!(笑)
ひとりでケーキ買ってきてお祝いします(笑)"

はずきさんにそう送ったのは
1週間前に別れた彼に連絡出来ない寂しさを埋めるためだろう。

テレビを見ながらケーキを食べていると
携帯が鳴った。

"そうなん?!なんか偶然やね!!
あ、てか電話番号聞いてええか?"

(? なんで番号?)

そう思いながら左手でチューハイを飲み干し
右手で番号を打った。

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