
煙〜男の破滅と解放
第1章 始まりと終わり
会社が終わって正人(まさと)は引き寄せられるように大阪梅田の繁華街に来た。
大手通信企業に勤めて17年。あっという間だった。若い頃には向上心というものも自分にはあったのだろうか。ここ数年は毎日のようにデスクワーク、最近では毎日のように体が重い。
独身の正人には帰りを待つ人もなく、毎週金曜日は何をするでもなく人ごみの波に身をまかせるのが決まりごとのようになっていた。39になった正人は別に結婚を諦めているわけではない。増えていく年齢とは関係なく彼の精は若い頃のままだった。いい人がいれば。。そんなことをもうずっと考えている。
今日はどうしよう。いつものように安いピンサロで慰めてもらおうか。そんなことを考えながら足の進むままに小さい路地に進んでいった。人ごみと街の騒音が小さくなっていく。前の方に一人の女性が電柱に寄りかかっていた。なにくわぬ顔で通り過ぎようとした。
「すみませんお兄さん。」
女性が正人の進路を塞いだ。どうせどこかお店のキャッチだろう。そう思った。
「なんでしょうか。」
「寂しそうに歩いてたから。」
可愛らしい唇と赤い口紅が印象的だった。
大手通信企業に勤めて17年。あっという間だった。若い頃には向上心というものも自分にはあったのだろうか。ここ数年は毎日のようにデスクワーク、最近では毎日のように体が重い。
独身の正人には帰りを待つ人もなく、毎週金曜日は何をするでもなく人ごみの波に身をまかせるのが決まりごとのようになっていた。39になった正人は別に結婚を諦めているわけではない。増えていく年齢とは関係なく彼の精は若い頃のままだった。いい人がいれば。。そんなことをもうずっと考えている。
今日はどうしよう。いつものように安いピンサロで慰めてもらおうか。そんなことを考えながら足の進むままに小さい路地に進んでいった。人ごみと街の騒音が小さくなっていく。前の方に一人の女性が電柱に寄りかかっていた。なにくわぬ顔で通り過ぎようとした。
「すみませんお兄さん。」
女性が正人の進路を塞いだ。どうせどこかお店のキャッチだろう。そう思った。
「なんでしょうか。」
「寂しそうに歩いてたから。」
可愛らしい唇と赤い口紅が印象的だった。
