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恋と秘密と幼なじみ

第1章 ご褒美のお願い

「ごめん。ティッシュで拭いて」
「あ、うん……」

放心したような陽姫はその一言で我に返り、手のひらを拭う。

無言の数秒、気まずさが部屋に広がった。

「私の手でイッちゃったんだ、お兄ちゃん」

気遣いなのか、本心なのか、少女は嬉しそうに微笑んで軽口を叩く。

「なんか、まじでごめん」
「なんで謝るの? 悪いことなんてしてないし」

演技なのか本心なのか、陽姫は悪びれた様子もなく笑う。

しかし取り返しのつかない一歩を踏み込んでしまったという罪悪感までは、消えることはなかった。

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