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恋と秘密と幼なじみ

第10章 夏の暑さと映画デート

陽姫の所属する緩い美術部にはもちろん夏休みの合宿も練習もない。

「完全にフリーだ!」

嬉しさのあまり、陽姫は両手を伸ばして伸びをして叫ぶ。

「休みだからってだらけてたら駄目だからね? ちゃんと勉強して規則正しい生活しなさいよ?」
「はぁーい」

母に苦言を呈され、ふて腐れながらも返事をする。

「成績だって、中学一年生の一学期なんて当てにならないんだから。油断してるとすぐに抜かされるよ」
「それなら大丈夫。祥吾君が教えてくれるもんっ!」

はしゃいだ声でそう言ったが、祥吾の名前を出すことで母がどういうリアクションを取るのかという、意外と冷静な計算があった。

「そうね……祥吾君が教えてくれるのは安心だけど」

母はにっこりと笑う。
彼氏が親の信頼を得ているということを感じてぱぁっと顔が明るくなってしまった。

「でも勉強するのは陽姫なんだからね。あんまり祥吾君に迷惑かけないように」
「はぁい」

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