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放課後の教室は開放感でいつも騒がしいほど賑やかだ。
四月も終わりに近付き、新しい生活にも慣れてきたクラスメイト達は思春期ならではの盛り上がりを見せている。

「ねえ、ひめちゃん！」

声を掛けてきたのは仲良しの戸川ほのか（とがわほのか）だ。
目鼻立ちがはっきりとした陽姫が太陽のような美少女ならば、大人しそうで涼しげなほのりは月のような美少女といえる。

「なに？」
「連休ってなんか予定ある？」

そう訊いてきたタイミングで何人かの男子と女子が寄ってくる。
その中にはサッカー部に入部した鬼澤雄太（おにさわゆうた）もいた。
明るくて背も高く、凛々しい顔立ちでクラスの中心的なメンバーの一人だった。

「みんなで遊びに行く予定なんだけどひめちゃんも行かない？」
「うん。予定ある日もあるけどいいよ。何日？」

場所は近くの繁華街で日程は連休初日の五月三日に決まった。
次の日は祥吾の家族と陽姫の家族でキャンプに行く予定だったが、ちょうどその日に着ていく服を買いたいと思っていたのでちょうどよかった。