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恋と秘密と幼なじみ

第4章 秘密の恋のはじまり

肩を抱きかかえられ、ぐっと引き寄せられる。
普段は優しい祥吾だから、つい非力なのかと勘違いすることがあるが、抱き止めてくれた力は逞しいものを感じた。

「あ、ありがと……」

心臓の音が聞かれちゃうんじゃないかというくらい、激しい。

「ったく、気をつけろよな」

照れ臭そうに、祥吾の声はぶっきらぼうだった。
しかしすぐに離してくれないところをみると、少し気持ちが入っているんじゃないかと期待してしまう。

「おーい、祥吾君! 抱きつきすぎ!」

陽姫の父はからかうようにヤジを飛ばした。

「あっ……」
「えっ……」

我に返った二人は慌てて離れる。
しかしより焦ってしまったのは祥吾の方だったようだ。

「わ、わあっ!」

足許を苔に取られ、そのままひっくり返って全身川に浸かってしまった。

「お、お兄ちゃんっ!?」
「ってて……大丈夫だ」

ある意味お約束的な展開に、両家の親たちは爆笑していた。

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