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『甘い蜜』

第66章 甘い蜜 66*

涙を拭う動きをする手に…知らぬ間に泣いていたのだと、気付かされる。

「涙…、流すんだなアンタでも。」

この状況でクスクスと笑うコイツがよく分からないが…

「…俺とこうなれて嬉しいの?」

ナゼそうなるんだ…コイツの思考回路はよく分からん。

「今日は…よく喋るんだな。」

「それはアンタも同じだろ?」

「…そうかもな。」

行為の最中に相手の気持ちを考えるのも…傷付けたくないと思えたのも、全部お前が初めてだよ。

全く、コイツと居ると…どうしてこうも調子を狂わされるんだろうな。

「素直じゃないな…ホントに。」

「…お互い様だと思うが?」

「あー、そっか…」

そう言って微笑む様に笑った神崎に、思わず俺も笑ってしまった。

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