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愛してるのに,愛せない(続)

第4章 drama

((秀太side))







学校に着いてから,トイレに行くと言って教室を飛び出してしまった







フられて諦めがつくなんて思った自分が間違いだった







思えば間違いばかりの恋だった







もっとたくさんできることがあったはず








日高と千晃がいい雰囲気になっていても余裕







そんなことばかり考えて,かっこつけていた







屋上から見える銀色の空に向かって,精一杯自分自身を馬鹿にしてやる






大声で笑ってやろかと思っていたけど苦笑いしか出ない







秀「ほんっと情けねぇな…俺…」


日「ほんとだよ」


西「情けないぞ,秀太」





突然現れたのは日高と西島



俺の横で思いっきり寝そべった







日「千晃となんかあったんだろ?」

秀「…フられた」

西「…」

秀「千晃,俺のことキライなんかじゃない。好きだよって言った。でも,その好きは友達としての"好き"で,千晃の心の中にいるのは俺じゃない」


日「情けないにも程があるだろ」


秀「…は?」


日「千晃の心の中なんてお前にはわかんないだろ。俺にだってわかんない,千晃自身にしかわかんねぇんだよ。千晃の心の中にいるのが秀太じゃないなんて誰が決めたんだよ。」


西「千晃はちゃんと秀太のことフったの?」


秀「…あぁ」


日「秀太はまっすぐに見えるけど,見せてるだけ。勝手に諦めちゃだめ。」


秀「…」


西「秀太はこれで満足?」


秀「日高が,千晃のことを幸せにしてくれれば満足だ」


日「まだかっこつけんのかよ…」


秀「日高,千晃を大切にしてくれ」


日「言われなくてもそうするよ」







ああ、そうだ


なにをかっこつけていたんだろう


守るほどのプライドもないのに










深く息を吸って,教室に向かって歩き出した

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