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Baby love

第9章 不器用な恋の行方。




M side



・・・・・。



ぜんぜん眠れなかった。



ゴロンと仰向けになって天井を見つめる。
まだ起きるには早い時間だ。
もう少し横になっていようか・・・



左手で握りしめているスマホをチラリと見る。



M「女々しいよな、俺・・・」



あれから・・・
一度も翔くんと連絡を取っていない。



当然だよ。
俺、翔くんを振ったんだから。



M「怒ってるかな・・・」



一方的だった。
翔くんは俺に想いを伝えてくれようとしたのに、俺は逃げた。



会うのが怖かったんだ。



M「だって、大好きなんだよ・・・。」



頻繁に連絡を取っていた頃の、翔くんからのメールを何度も見返しては涙が溢れる。



翔くんからメールがきたら、飛び上がるくらい嬉しかった。



もし恋人になったら、なんて想像して浮かれてた。



男同士だって、カズと相葉ちゃんのように幸せになれるんだって本気で思ってたよ。



バカだよな・・・



翔くんの見合いの話で、簡単に俺の心はグラついた。
急に現実に引き戻された気がした。



俺の大好きな翔くんは、
カッコ良くて頼り甲斐があって、笑顔が優しくて。



きっと良いお父さんになるよ。



単純に、勿体無いって思った。
隣にいるのは俺じゃないだろって。



俺なんか選んだら、この先誰にも紹介出来ないんだよ。
翔くんみたいな良い男が、いつまでも独身なんて変じゃん。
翔くんの両親だって悲しむよ・・・



それに・・・
いつか、少しでも翔くんが俺との事を後悔したら・・・
子どもが欲しいって思ったら・・・



そう考えたら怖くなった。



俺と一緒にいるメリットなんて何も無い。



翔くんにずっと想い続けてもらえる自信なんか全くなかった。



だから、まだ何も始まってないうちに・・・
お互い引き返した方が良いんだ。




M「・・・キスなんか、しなければ良かった。」








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