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Baby love

第9章 不器用な恋の行方。




M side



1度だけしたキスは甘過ぎた。



こんな甘くて切ない想い出なんか要らなかったよ。



きっとあのキスのせいで、俺はもう誰とも恋は出来ない。



だって、忘れたくないから・・・



あの瞬間だけは、俺たち恋人だったよね?
そう思うくらいは、良いよね・・・?





『1番好きな奴が手に入らないなら、誰もいらねーよ・・・』





最後に電話をした時に、翔くんから言われた言葉。



嬉しかった。



こんな最高の告白、他に無いよ。




でも、翔くんはちゃんと新しい恋をしてね。
結婚して幸せな家庭を作って、ずっと笑顔でいて欲しい。
子どもが出来たら、抱っこさせてよね。



あの言葉を貰えただけで、俺の想いは報われたから。



思えば、俺の初恋は翔くんだったんだよ。
ガキだった俺は良く分かってなかったけど。



少し前の俺は、それを認めたくなかったけど。



昔っから、俺はずっと翔くんを追いかけてたんだな・・・



今まで良く頑張ったよ。



ひとつ心残りなのは、翔くんに好きだと言葉に出来なかった事・・・



でも、それも素直じゃない俺らしいか・・・



M「初恋は実らないって、本当なんだな。」



なんだか笑えてくる。
30を越えた大人が初恋がどうのって・・・



M「ほんっとバカだわ、俺・・・。」



過去のメールを見てウジウジするなんて、今日で終わりにしよう。
前だけ向いて突っ走ってれば、いつか翔くんへの想いも薄れていくはずだ。



M「バイバイ。」



メールの履歴を消去して、ベッドを飛び降りる。



今日は5人での仕事だ。
翔くんと顔を合わせるのはまだ怖いけど・・・



大丈夫。



メンバーに迷惑がかかるような事にはならないように、ちゃんと翔くんとも向き合おう。
今まで通り・・・



翔くんだって、きっとそれを望んでくれてるよね?



立ち止まったら、奮い立たせた心が揺らぎそうで。
時間はたっぷりあるのに、大急ぎで仕度を終わらせた。







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