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Baby love

第27章 翔くんとお父さん。




キッチンで潤と母さんがなにやら話をしている。
昔から母さんは潤を気に入ってたからなぁ・・・
本気で俺達の事を喜んでくれているのかもしれない。



問題はこの人だよ・・・



つけたテレビもろくに見ずに、新聞をせわしなく捲っている。
何ソワソワしてんだ。



S「なぁ・・・、」



「・・・なんだ。」



こちらを見ずに、かといって新聞もちゃんと読んでなさそうな父さんがぶっきらぼうに返事をする。



S「色々驚かせてごめん。
見合いの前にちゃんと話するべきだったよ。」



「別に構わん。」



S「・・・意外なんだけど。
父さんがこんなあっさり認めてくれるの。」



「反対してほしいのか?」



S「そうじゃねぇよ。
意外って言ってるだけだろ。」



「・・・これでも、お前を心配してたんだ。」



S「は?」



心配??
勉強だって仕事だって、全て結果を出してきたのに。



「そういう所だ。何でも大概の事はそつなくこなすお前だからこそ、心配なんだ。
自分に自信がある奴は、得てして恋愛に躓きやすいもんだ。
恋愛ってのは思い通りにはいかんからな。」



S「・・・・・」



「・・・なんだ。」



これは本当に俺の父親なんだろうか。
あの無口な父さんが恋愛について語ってるなんて、信じられない!!
こみ上げる笑いを堪えて、続きを促す。



「お前、さっき言ってただろう。
上っ面だけの恋愛がしんどかったと。」



S「・・・ああ。」



「見てるこっちもしんどかったぞ。
貼り付けた笑顔で、“ 良い恋人”を演じているお前を見るのは。
女性ってのは聡いもんだ。
お前の本心が自分に無い事は簡単に見抜いていただろうな。」



S「・・・そうだな。
恋愛なんてそういうモンだと思ってたから。」



「松本くんが恋人だと言った時のお前は・・・面白かったな。
初めは冗談だと思ったが・・・
今まで恋人を紹介してきた時と全然違った。」



ふ、と思い出し笑いをして新聞をテーブルにポンと放り投げた。




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