Baby love
第27章 翔くんとお父さん。
S「違ったって?」
「殴りかかってきそうなくらい、鋭い目で俺を睨んでただろう。
それなのに、松本くんを見る時は恥ずかしい程に優しい目をしていたよ。」
・・・確かに、潤に何か失礼な事を言うようならぶん殴ってやろうとは思っていたけど。
S「んなだらしない顔してたか?」
「良い顔だったと言ってるつもりなんだがな。」
そう言う父さんも、恥ずかしいくらい優しい表情してるよ。
「松本くんが恋人だっていうのは本当に驚いたが・・・
それ以上に、お前があんな表情をするのか、と驚いた。
男同士ってのは正直良く分からんが・・・
反対する気なんて持てなかったよ。」
S「・・・・・」
・・・知らなかった。
父さんにそんな心配されていたなんて。
恋人との付き合いが続かない事を、ただ呆れられていると思っていた・・・
S「あのさ・・・実体験なのか?」
「何がだ?」
S「自分に自信がある奴は、
得てして恋愛に躓きやすい、ってやつ。」
「・・・」
再び新聞を手にした父さんが、俺に顔を隠す。
S「恋愛に躓いた事あんの?」
「・・・お前と同じだ。」
S「え?」
「俺とお前は良く似ているからな・・・
母さんと会うまでは、仕事ばかりで恋愛なんて興味を持てなかった。」
へぇ。こんな話は聞いた事が無い。
「・・・松本くんは母さんに似てるよ。
意外と気の強そうな所とか。
お前はきっと尻に敷かれるな。」
S「うるせーよっ、てか父さんも尻に敷かれてんの?!」
どちらかというと亭主関白な父さんだ。
それに黙って従っているイメージが母さんにもあったんだけど。
「・・・そのうちお前にも分かる。」
そう言って笑った父さんは何だかすごく楽しそうで、つられて俺も笑ってしまった。