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スケートリンクと溺愛コーチ

第4章 いきなり勝負!?

ー杏莉sideー




次の練習中。





「杏莉、柚、ちょっと来て。」


紀子ちゃんに呼ばれ、私と柚ちゃんはリンクサイドに集まった。


「いきなりなんだけど、2人に勝負してもらいたいの。」



勝負・・・私と柚ちゃんが・・・?


「ほ、本当ですかっ?」




柚ちゃんが嬉しそうに聞く。


「ええ。柚は杏莉にずっと憧れていた。それは今も変わらない。でも、今柚は、杏莉に近いところまで来てる。
これから2人は、よきライバルになると思う。」



・・・それならもう、答えは決まってる。




「私は、嫌です。」


これが、私の今の気持ち。



「私にとって、次の大会がジュニア時代最後の大会になります。そのとき、後悔しないためにも、今は練習に集中したいです。」



第一に、めんどくさい・・・。




「杏莉の気持ちはわかる。でもね、もう決まってしまったことなの。それに、アダムズも了解してくれたわ。」





は?ラファが?


でも、ラファがOKしてしまったのなら、もう断れないだろう。



「そうですか。仕方ありません、出ます。」

「わあ!私、すっごく楽しみです!」

「ありがとう。詳細を説明するわね。来月、12月の10日に行われる、アイススケートフェスティバル。ここで2人に勝負してもらいたいの。観客の投票で勝敗がきまるわ。」




来月の12日ということは、あまり時間がない。

アイススケートフェスティバル、これはここの町で毎年行われるお祭りのこと。

この日は滑走料金が無料の屋外スケートリンクが開放され、このリンクでは、様々な選手がアイスショーをすることになっている。


もちろん、私も出たことがある。


うれしそうな柚ちゃんを背に、私は練習に戻った。


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