スケートリンクと溺愛コーチ
第6章 アイススケートフェスティバル当日!
やっぱり、時間がたつのは早い。
あれから数時間がたち、もうすぐ私の出番がくる。
なぜだか知らないが、いつもより人が多い気がする。
しかも、いつもは地元のローカルテレビくらいしかこないのに、某有名テレビまで来ている。
「杏莉、出番だよ」
ベンチで1人座っていると、ラファがむかえにきた。
「うん、今行く。」
リンクへと続く廊下を、2人無言で歩く。
・・・気まずい。
目をつぶってでも進めるほどに歩きなれた廊下が、今だけはとても長く感じる。
やっとリンクに到着した。
ラファと揉めてから、毎日していた練習も休むようになった。
そのせいかやけにリンクにたつのが久しぶりに感じる。
あ、今朝来たか。
そんなことを考えながらリンクへと滑り出そうと思ったとき、後ろからラファに抱きしめられた。
あったかい・・・。
そしてラファはゆっくり手をはなすと、私の背中をトンっと押した。
それにつられるように、リンクの中央へとすべり出していく。
天井のライトが、衣装のキラキラに反射して光っている。
静かに息をはく。
うるさいくらいに鼓動がドキドキしている。
ーーーーー曲が、始まる。
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