テキストサイズ

スケートリンクと溺愛コーチ

第3章 はじまりⅡ

ー杏莉sideー



「杏莉、準備できた?」

「うん、できたよー」




丁度スケート靴をはき終えたところでラファに話しかけられた。


「おっけ。」



そう言うとラファは、私の手を引っ張って地下駐車場とリンクとをつなぐ階段にきた。

私はいつも、練習前、ここでアップをしている。

私的には別に、他の選手のいる外とかでアップすれば良いと思っているけど、ラファいわく

『他の選手に杏莉が見られると、なんかヤだ。』


らしい。


いつも通り階段に腰掛けるラファを横目に、アップをはじめようかと思った。



が、



「杏莉~、おいで~」



ラファが手招きをしてくる。

ラファの座っている階段の少し下のところをチョンチョンと指差している、ということは、ここに座れということだろう。


仕方なくそこに座る。


すると、いきなり後ろから抱きすくめられた。

耳にかかる吐息のせいで、ビクッと反応してしまう。


そんな私の反応に気をよくしたのか、ラファは手の力をいっそう強めた。



『なにしてるの。』

そう言おうとして振り向いた瞬間、噛み付くかのように口付けられる。


キュッとかたく閉じていた口を、ラファはムリヤリ舌でこじ開けてくる。

観念して口をひらくと、ラファの舌が私の歯列をなぞり口内をくまなく蹂躙する。



「んっ、あっ・・・!」


もうすぐ練習が始まっちゃう、それはラファもわかっているはずなのに、一向にやめる気配はない。


舌と舌がからむ水音が、誰もいない階段に響く。


それを聞いて、カアッと顔が赤くなるのがわかった。




「ぷはっ」


満足したのか、ラファが私を解放してくれる。

だけどもうすでに私は、腰が抜けてフニャフニャになっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ