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FRIENDs -ars短編集-

第2章 1つの嫉妬 S×M

Sサイド


車が止まって、ドアを開ける音がして、
ふと俺の頬が撫でられる。


「可愛いなぁ…」


潤はいつもそう漏らすけど、
本当に可愛いのはやっぱり潤なんだと思う。


「翔くん、着いたよ…」


優しく揺すられて、本当は起きていたけど
ゆっくり目を開ける。


「…ぁ…ごめん、寝てた。」
「ううん、いいよ。行こ?」


潤はさり気なく手を差し伸べるけど、
外だから俺が車から出るとパッと手を離す。

潤と一緒に家に向かう間に、
例の“アレ”を潤に手渡す。

それは、キャンディー型の媚薬。


「潤、これいる?」


見た目からは全然わからないけど、
色々調べたらちゃんと効き目のあるやつみたい。

効き始めるまでに30分~60分くらいかかる
らしいから少し早めに渡した。


「うん、ありがと。」


そんなこと全く疑いもしない潤は、
その飴を口に放り込む。

その横で俺はこっそり別の飴を口に入れる。


「コーヒーの味だね、美味しい。」
「そうだね。」


コーヒーの味なんかしないのに相槌を打つ。
俺が食べたのはりんご味。

匂いでバレないように、俺はあまり
潤の方を向かないようにした。


家に着いてすぐ、料理の出来ない俺の代わりに
潤が晩御飯を作り始める。


「潤、それ出来るまでどれくらいかかる?」
「んー、今日はグラタン作ろうと思ってるから
40分くらいかな…?」


40分もすれば媚薬も効いてるかな…
たぶん料理中に効き始めるだろう。

その間俺は風呂に入って、上がってからは…


「じゃあ、俺風呂入ってくるね!」


わくわくする感情を抑えきれてないことに
驚いて、急いで風呂に向かう。


「いってらっしゃぃ……」


潤のそんな声が後ろから聞こえたけど、
俺の頭の中は乱れる潤の姿で埋まっていた。

るんるんのまま服を脱いで、風呂に入る。


頭を洗い終わって、流してからふと鏡を見ると
自分でもびっくりするぐらい緩んだ俺の顔があった。

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