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　自殺して、死後わずかの遺体を、人工蘇生術により甦った女性。その名も、水戸奈津子。


　死体が生き返る……俗に言うゾンビとなるのだろうが、三人の医学技術者は、あくまで人工蘇生だと言い切る。


　本人には生前の記憶がない。あるのは、生き返ってすぐからの場景のみ。


「水戸さん、歩けるかい？」


　デヴィッドの支えで、まだ歩くことがおぼつかない水戸さんは、歩行練習を始めた。


「はい、あ〜んよ〜はじょ〜ず、あ〜んよ〜はじょ〜ず」


　手を離し、手拍子を合図に足を進める。


　その様子を、ジャガーとボンサンは記録をつけながら、眺めていた。


「ボンサン、人工知能の中には、どんなことが記録されているんだ？」


「まあ、大学生並みの一般常識はだいたい入ってますが、後は、本人が学んで覚えていくしかないと思います」


「ふむ、難しいことは覚えなくていいから、仕事に役立つことを覚えていけば、大丈夫だと思うがな」


「訓練と指導はデヴィッドに任せております。カリキュラムを組んでましたので、うまくやってくれるでしょう」