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MITO

第1章 遺体回収業者

 ジャガーは、フフンと笑った。


 付け足しておくが、ジャガーは50代の中年男性だ。


「我々は、国から特別許可をもらっているのだよ。綺麗なままの遺体なら、引き取って、作業を行うことが出来る。だが、これはまだ公には出来ないことだがね」


「て、ことは……警察に見付かっても大丈夫なんですか?」とデヴィッドが聞いた。


「もちろん。我々の仕事は遺体を甦らせて、低賃金で働ける労働者を作るということだ」


 それを聞いて、ボンサンが屁をこいた。


「おいおい、ボンサン……緊張感が無さすぎるよ。これが、初の業務なんだからさ」


 ジャガーが注意をすると、ボンサンは自分の頭を押さえ、申し訳なさそうに会釈する。


「すいません、いや、僕は緊張すると尻がどうしても緩むもので……だけど、死者を甦らせて労働者にするって……それじゃ、今元気に頑張っている労働者の立場がないじゃないですか?」


 ボンサンの言う通りだ。


 普通の労働者を雇うよりも、それだけ人件費を安く出来る方が経営者にとって、都合がいい。場合によっては、解雇者が増えてくることがあり得る。



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