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MITO

第4章 初勤務

 よく見るとインターホンの上に、小さなレンズがある。


 防犯カメラだ。


 水戸さんは、カメラの前に立った。


 目でなにかを追うふりをして、パチンパチンと手を叩く。


『蚊?』


 水戸さんは、○を出した。


『正解ですね』


 今度は、少し腰を落とし、両手を水平に、何度もサッと広げた。


『セーフ』


 水戸さんは、○を出した。


 立て続けに蚊とセーフの動きを出し、PPAPのように重ねた。


『蚊とセーフ……あ、家政婦ね』


 水戸さんは、飛び跳ねながら○を出した。


『ちなみに、その頭は趣味でしょうか?』


 忘れていた。


 江戸時代の男性の髪型「さかやき」のカツラをつけたままだった。


 とりあえず、水戸さんは、○を出すしかなかった。


『では、お迎えにまいります。しばしお待ちください』


 インターホンが切れた。


 水戸さんは、門の前で待った。


 10分……


 20分……


 30分……


 35分……いい加減、もう一度、インターホンを押そうとした。


 門が開いた。



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