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華は儚く美しく

第2章 桜色の想い

 そんな毎日が続いたある日。僕に気づいた少女は、窓に駆け寄って来る。


「何してるの?」


「歌が聞こえたから」


「数え歌だよ」


 少女は微笑む。


「そっか」


「君は外にでないの?」


 少女は首を傾げて、僕を見る。瞳にはきょとんとした顔をした僕を映す。その問に何も言うことができず、ただ頷くだけだった。


「桜(サクラ)!」


 遠くから声が聞こえる。


「はーい! 今、行きまーす! ごめんね、呼ばれたから行かなきゃ。またね」


 口早に言うと、桜と呼ばれた少女はチリンチリンと鈴を鳴らしながら走り去る。その背中は、だんだん小さくなって、最後には消えてしまった。

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