肝だめし
第1章 墓地
逃げてきた道を引き返して坂道を上る
さっき猛ダッシュしたので足がダルい
「こないだと全然雰囲気ちゃうねん…」
「えっ、どんな風に?」
「とにかく怖い。最初見た時ゾッとしたもん…」
「えぇ〜いやや…」
やがて最後の角が見えてきた
そこを曲がると嫌でもあの闇が目に入る
「ほら、全然雰囲気ちゃうやろ?」
突き当たりの闇を指差すと伊藤もそれを感じたのだろう、何も言わずにうなずいた
「行くぞ…」
怖いけど一人で来た時に比べれば全然マシだ
「あいつ全然出てけえへんねん!」
ボヤきながら玄関前に自転車を止め、また弱々し軍や口笛を吹く
すると二階の窓越しに人影が現れ、あっという間に中村が出てきた
「おまえ寝てたやろ!」
「ごめん、気がついたら寝てたわ~」
「めっちゃ怖かってんぞ!」
もっと文句を言いたいけど時間がない
一旦その場から離れ、近くの駐車場で作戦会議を開く事にした