肝だめし
第1章 墓地
縦に三人並んで畦道を進む
墨汁みたいな闇が覆っていて、俺の小さな懐中電灯では足下を照らすので精一杯だ
「写真撮ろか…」
伊藤がカメラを構えた
気が進まないが闇をバックに俺と中村が並んでピース
カシャ!
問題なくフラッシュは光った
さらに闇に向かってもう一枚
カシャ!
フラッシュで並んだ墓石が光ってビビる
絶対に大声を出してはいけないので俺は出かかった言葉を飲み込んだ
そのまま畦道を抜けて山道へ合流
だんだん暗闇にも目が馴れて来た
ボンヤリとだが、つづら折れの山道にズラリと並んだ墓石が見える
来ちゃいけない場所に来てしまった感じ
「大丈夫…大丈夫…」
油断すると恐怖に飲み込まれそうなので自分を励ましながら黙々と歩いた