肝だめし
第1章 墓地
この山道は何度か折り返しながら山頂まで続いている
その最後の曲がり角までやって来た
そこは少し広めの踊り場の様になっていて、無縁仏みたいな小さい墓石や地蔵があちらこちらに突き出ている
「あぁ〜怖い〜」
なんでこんな乱雑なのだろう?
まるでリアルなお化け屋敷
しかも今は丑三時で何が出てても不思議じゃない
パシャ!パシャ!
ここで急にフラッシュが光り出した
怖さが麻痺したのか伊藤が写真を撮りまくってる
「はいチーズ♪」
こちらにカメラを向けてはしゃぐ伊藤
場所とテンションのギャップがおかしくて仕方ない
「あはは、おまえ凄いな~!」
おちゃらけ野郎のおかげでだいぶ気が楽になった
ここから頂上までは一直線
中村によると頂上は行き止まりになっていて、そこにはこの墓地で一番立派なお墓があるらしい
そこで写真を撮れば帰れる
「あと少しや…」
再び歩き出した時、後ろで中村がボソッと呟いた…
「行き止まりは兵隊さんのお墓やで…」
「えっ!?」
足が止まった