肝だめし
第5章 浮遊
翌朝、登校してすぐ石原さんに昨夜の出来事を報告
「あぁ…」
呆れた顔で俺を見てる
「ほんまに謝りに行きって。このままやと何があってもおかしないで?」
こんな風に言われると反抗したくなる年頃
あんな怖い目に遭ったのに回りに人がいると強がってしまう
「大丈夫やって。それより空飛べそうな感じやねん♪うまくいったら石原さん家に飛んで行くから♪」
彼女に冗談は通じなかった
「知らんからね…」
氷の様な表情でそう呟くとスーッと立ち去って行った
ある意味、彼女が一番怖いかも
しかし俺も浮かれてばかりではなく、あの夢か現実か分からない現象の正体を知りたかった
なにせ生まれて初めての感覚なのだ
もし二回目があるとすればそれは夢ではなく、霊的な現象として、あるいは肝試しの祟りとして認めてもいい
真剣に捉えるのはそれからだ
でも、さすがに続けてはないだろうというのが正直な気持ち
ホラー映画の脚本じゃあるまいし、あんなのが連続するなんてベタ過ぎるから
数日後、そんな甘い考えは吹っ飛ぶ
それは俺の人生において一番怖い体験となった