肝だめし
第5章 浮遊
そこからさらに体が回転しながら布団へと落下
この時、眠ってる自分の姿を見てしまった
「ぎゃあああ~!!」
俺が俺に落下して行く
ダダン!!
激突と同時に金縛りが解けて飛び起きた
「うわぁ~!!…あれ?」
下向きで落ちたはずなのになぜか仰向け
さらに布団は乱れておらず、体が移動した形跡もない
隣にもう一人の自分がいたら発狂ものだが幸いそれもなかった
やはり現実ではなかったのだ
いつもならここで「夢か…」となるのだか全くそうは思えない
夢ではないリアルな何かが起こった
しばらく興奮醒めやらぬ状態が続き、何度も回りを見ては不思議な感覚を思い返す
「ほんまに肝試しの祟りかもな…」
一瞬信じかけたが即座に否定
「おるんなら今出てこいや!」
部屋で一人叫んでみる
もちろん反応はない
怖さより、そんな事をしてる自分が可笑しくなって来た
「また来たらぶっ殺すからな!」
汚い言葉で自分を奮い立たせる
恐怖に飲み込まれたら負けだ
それから朝まで灯りは点けたまま眠れずに過ごした